AX 世界の全死因,喫煙が占める割合は?

世界の全死因,喫煙が占める割合は?

世界の全死因,喫煙が占める割合は?

“たばこの規制に関する枠組条約(FCTC)”といったものがあり,そのおかげもあってタバコの規制が世界的に成功しているわけであるが,タバコは今でもなお健康の主要リスクであり続けている.

以下の内容は,医学ジャーナルLancet誌の記事からの引用である.

今回,Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study(GBD)という研究グループが,喫煙率と喫煙の疾病負荷に関する系統的な解析の世界的な結果を報告している.

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25年間の195地域の毎日喫煙率、寄与疾病負荷を解析

この研究グループは,1990~2015年の間で,95の国と地域を対象に,喫煙と38の健康転帰の因果関係を解析している.障害調整生存年数(DALY)を用いて喫煙寄与死亡率と疾病負荷の推算値を算出し,喫煙の実際の年齢パターンをみるために出生年別の喫煙状況のコホート解析まで行っているのだが,最終的に,社会人口統計指標(SDI:1人当たりの所得,学歴,合計特殊出生率に基づくサマリー指標)を用いて,国および地域の発展程度別の解析も加えている.

日本の喫煙率は男女とも世界全体より高い!

2015年の世界の年齢標準化毎日喫煙率は,男性が25.0%で女性は5.4%である.それでも1990年以降はそれぞれ28.4%,34.4%低下している.

2015年の日本の喫煙者数でみると,男性が1,530万人で女性は490万人(世界第7位)となる.年齢標準化毎日喫煙率では日本は世界全体よりも高くて,男性が26.6%で女性は9.3%である.1990~2015年の年間変化率はそれぞれ-2.4%,-0.7%とわずかではあるが低下している.

 全死亡のうち喫煙の寄与

2015年の全死亡のうち喫煙の寄与による死亡は11.5%(640万人)であり,そのうち中国,インド,米国およびロシアの4カ国で52.2%を占めている.喫煙がDALYのリスク因子の上位5番目までに含まれる国・地域の数は,1990年の88から2015年には109に増加している.

出生年別コホート解析をみると,男性の喫煙率はSDIに基づく国・地域の発展の程度にかかわらず類似の年齢パターンを示していたが,女性喫煙者の年齢パターンは発展の程度によってかなりの違いがみられた.

著者らは,最後に以下のようにまとめている.

1. 喫煙率低下度は,地域性やその発展具合また性別によっても異なる.

2. 最近の傾向としては,とくに女性や低~中SDI国では過去の低下率の維持は難しい状況である.

3. たばこ規制への取り組みが直面する重大な課題というのは,なにもタバコ産業や社会規範に限らない.喫煙開始の防止と禁煙の促進が大幅に加速されない以上,人口動態の変化によって喫煙の犠牲者がもっと増加する可能性があるということである.

4. タバコ規制は達成しうるものかもしれないが,有効的,包括的かつ適切に強化された施策が必要である.つまり今までの25年間の成果を超えるような,世界的,国家的な政治的取り組みが必要なのかもしれない.

今さら・・・というわけではなく,今後もしっかりとした禁煙政策が全世界的に求められているのだ.

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